
時々帰省をしないでもないが、だいたいは紙の上に収まる範囲の付き合いしかしていない。親とか兄弟とか親戚とかは、所詮紙の上でのつながりだ。だからなのか、話していてもどこかギコチナク、居心地もあまり良くない。それに耐えている自分を見つけることすらある。
同窓会ってのにも無縁だ。一度も呼ばれたことはないし、行く気もあまりない。そもそも彼らの連絡先を知らない。帰省したくらいで偶然出会えるわけでもない。
思い出すのか、時たま夢の中で会うくらいでしかない。その時は一緒にサッカーをする。あの日と同じようにチームとなって一つのボールに集中する。それはとても愉快で、あまりに痛快だから、余計にあの頃になんか戻りたくはない。遠く離れた、憧れのままであって欲しい。
若い頃、新天地を求めて、地元を捨てた。
新境地を求めて、過去の自分を壊した。
それは確かな記憶だ。
壊したから、昔の思い出はすべて曖昧だ。今みんなに会っても上手く話せるかどうかわからない。
そして、あの日彼女に出会った。それぞれ、同じ場所で、全く別の用事が偶々あり、出逢ってしまった。
楽しい。話が弾む。気取りもテライもなく、素直になれた…ような気がした。
そして、必然的に別れた。次に会う約束もせずに、いつものそうするかのように、ただ、別れた。
彼女は段ボール箱だった。
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