2014年02月27日

第2劇場は「脱力系社会派コメディー劇団」です。

第2劇場は「脱力系社会派コメディー劇団」を自称しております。
でも「脱力系社会派コメディー」って何?ということで、2年前の四夜原茂作品『かなこるむ。』の劇評を紹介します。

舞監@日誌 since 2005 - 【観】第2劇場『かなこるむ。』
久しぶりに見た2劇は、これまた久しぶりの四夜原作品で、しかもかなり面白い。
震災から1年が経とうとしている。
この1年、震災に影響を受けた舞台作品をたくさん見て来た。
震災後、初となる四夜原作品は、まじめなテーマなど無く、社会とか、政治とか、世相とか、風刺したりは間違ってもしない単なるドタバタコメディであると言い放つ。


習慣HIROSE - 第2劇場『かなこるむ。』
震災原発を扱った作品の中でも異色の作品になっている。コメディータッチの語り口だが、とても落ち着いたタッチで、淡々としている。どこまでいってもハイテンションにはならない。圧力釜が大変なことになり、熱を持ちすぎた釜を冷却するために水をかけるのだが、という感じの話になる。だが、そこに焦点を絞ったへんな盛り上がりは、なしにしている。そこはあくまでもただの彩りでしかない。だが、とてもバカバカしいはずなのに、その部分はなんだかリアルで怖い。


中西理の下北沢通信(旧・大阪日記) - 第2劇場「かなこるむ。」@ウイングフィールド
 例え話と指摘するのがバカバカしいほど「圧力釜とは要するに原発のこと」であるのは間違いない。それゆえ、この芝居が原発に関することで電力会社を揶揄する内容を含んでいるのは確かなのだが、よくある芝居のように単純に「反原発」の主張をして政府や電力会社を糾弾しているともいえない。

 というのはこの裏返しの原発の物語には「エコ」すなわち「反原発派」的な活動も返す刀で揶揄されているからだ。エコ好きの妻はそれが嵩じた挙句、家を出ていってしまう。どうやら、国会議事堂を取り囲むデモに参加してしているらしく、しかもその最中に抗議の一環として持ち込んだ火縄銃が暴発してしまう……。

 四夜原の場合、隠喩が重層化しているうえに韜晦しているところがあって、なにがどういうことを意味しているのかということを一意に言い切ることは難しく、またプロパガンダ的な主張がそのまま題材となるような単純な構造になっていないところに特徴がある。


第2劇場公演『かなこるむ。』・込められた隠喩の深層 (大阪日日新聞 Osaka Nichinichi Shinbun)


第2劇場 - Wikipedia
2012年の「かなこるむ」は原発やエネルギー問題をモチーフにした作品である。この作品でも妻が出て行った家で喫茶店を営む男と、その喫茶店を根城にしたオヤジたちの集まり、という少し変わった集団の形態が登場する。また、次のような台詞もある。『あっちに娘もたくさんいます。だからミチコさんの家族はすごい人数になります。それで、わたし思ったんです。彼女はそのたくさんの家族と縁を切って、もっとたくさんの人々の母になるつもりなんじゃないかって。』  原発問題・エネルギー問題、その前後に繰り広げられた脱原発デモなどの社会問題に取り巻かれた人々の行動の結果、または行動の影響を受けた結果として、この家族形態が描かれていると捉えることができる。
 2014年、「萱場ロケッツ!」は「ウルウル7」「かなこるむ」の到達点というべき作品である。メインのモチーフはアルツハイマーであるが、付随して扱うモチーフは「ウルウル7」「かなこるむ」で取り上げられた全てを包含する。震災後からオリンピックへ、段差を上る今の日本の揺り戻しの気持ちを捉えた作品である。政権の方針によって将来志向の前進が打ち出されているが、このまま進んでしまってよいのか、もう本当に大丈夫なのか、といった微かな疑念を捉えている作品とも言えよう。  作品を見る個々人にとって、2010年代と現在を考える布石となる作品となるはずである。隠れ蓑の笑いやちりばめられた社会問題の要素だけでも十分楽しめるが、その下に隠されている社会への視線を感じてほしい。


「記憶と忘却」がテーマの『萱場ロケッツ!』公演情報はこちら!
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posted by 第2劇場 at 13:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 萱場ロケッツ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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