その山並みからは、かつてあった巨大なシンボルだけが失われていた。しかし、違いと言えばそれだけだった。有名な滝があり、柑橘類が名産なことも同じだった。
そこでは黄色いケーキが流行っていた。上質で健全なそのケーキには、食べた人にしかわからない幸福が詰まっている、と皆が話していた。
日常の中にメカとロボットが入り込んでいて、至るところが理想的に機械化されていた。煩わしい作業に個人が悩む必要は、もはやなくなっていた。
それと、街の地下深くには巨大な施設があり、今までのこの街での出来事を全て仕舞いこんでいるらしい。
今日から、僕は日記をつけることにした。
忘れてもいいように。覚えていなくてもいいように。思い出せるように。
そして、アキラさんは、今日旅立った。
次に会うときの約束を日記に書いておこう。
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