今回『AIとまこと-完全版-』に出演する新人劇団員の後藤みゆ・森菜々穂・早川夢の3人に心情を吐露してもらいました。(インタビュー:中村斗輝)
後藤 今日の稽古で早川さんの運動オンチが面白くて笑っちゃったり、人間っぽいしぐさをしちゃったりすることが多くて、しまったなーと思ってます。
中村 これからどんな風にお芝居を作っていきたいですか
後藤 なんとなく自分の理想のイメージはできてるので、頑張ってそこに近づけていきたいです。
森 私の役、オーディションの時は『スター』とだけ書いてあって。いやスターって何なんだと。私の実生活はそんなに華やかじゃないし、どうしようかなぁって感じです。
中村 ふと気になったんですけど、森さんにとってのスターって誰ですか
森 スターねぇ。私はあんまり人にあこがれたことがないなぁ。かっこいいとかかわいいとか、尊敬したりはするけど、その人みたいになりたいと思ったことはないかな。
(一同、意外な返答に驚く)
中村 …なるほど。では早川さんお願いします
早川 正直、オーディションの段階で『私に求められるのはこんな感じなんだろうな』とか思ってた。私がヘマすることを期待されてるっていうか(笑)。私そんなにアホっぽい人間じゃないと思うんだけど。
後藤 えー、なんかでも気づいたら出ちゃってない? そういうのが。
(早川以外大いにうなずく)
早川 待って待って、そんなことないよっ!!
森 機械が書くものって、100%模倣にしかならないんじゃないかなぁ。AIって『創造』ではなくて『学習』だから、新しいものは出てこないと思う。
早川 AIが書くなら、やっぱりはずれがなくて面白いものにはなると思う。でも、作品を通じて何かメッセージや感動を伝えようとする場合には、実際の経験の重みには勝てないんじゃないかな。
後藤 AIって心の温かさがないイメージがある。私はたぶん先入観でAIを毛嫌いしてしまうから、その作品には共感できないんじゃないかなー。
中村 じゃあ、自分が大好きな作品が、後になってAIの書いたものだとわかったらどうしますか
後藤 えーっ、その場合は……AIでも認めちゃうかな……。
早川 私だったら自分の見る目のなさに絶望しそう。
後藤 AIは人間がどういうときにどんな気持ちになるのかを全部記憶していると思うけど、人間の気持ちって実際の生体反応を伴っている気がする。ホルモンとか、血圧とか。
だから一見感情があるように見えても、完全に人間と一緒ではないだろうなと思う。
森 AIは効率的に生きていると思う。例えばコミュニケーションでも、人間同士だとそれぞれが持ってる言葉に対する感覚の違いがあるから、うまく伝わらないことがある。でもAIの場合はそういうことがないから、もっと効率的に情報の共有ができると思うなぁ。
早川 私はAIに人間らしくなってほしくない。そもそもAIは人間の行ってきた作業を能率的にこなすために造られたわけで。そこであえて人間の真似をさせる理由がないなと思う。人間らしさがないとできないことは、人間がやるべきだよ。せっかく生きているんだから。
後藤 AIが賢くなりすぎたら、能力の面ではぜったい人間を超えてしまう。現時点は人間にしかないものがたくさんあるからいいけど、それすら真似されたら人間の立ち位置がなくなっちゃいそうで怖い。
森 でも、AIに子育てはできなさそうだなぁ。子供って愛情がないと死ぬらしいし。
後藤 それを真似することはAIにもできるんじゃない? 愛情があるかないかなんてわかんないし。
早川 人によっては首を絞める行為も愛情表現の一つだからね。
後藤 今だって森ちゃんの気持ちでさえわかんないのに、AIの気持ちなんてわかんないんじゃない?
(以下、思いのほか議論が白熱したため割愛)
中村 例えば今目の前にいる人の脳みそも、実はAIだったっていう可能性も否定できないですよね
後藤 私、小さいころそれすごく考えた。自分以外みんな作り物なんじゃないかって。
森 考えた考えた。っていうか、本当は自分がAIだったっていう可能性も否定できないよね。
後藤 人間がモルモットを見るように、人間も知らない間に誰かに見られているのかも。たまに、どこからか誰かに監視されているような気がするもん。
早川 人間はどこまで不幸に耐えられるのか、試されているのかもね。
後藤 結論。世の中はわかんないことだらけ。
森 それが一番正解に近いと思うなぁ。
中村 さて、あまりスペースがないので早川さん、今回の公演全体について、思うところをお願いします。
早川 2劇、本気出してきたなという感じ。今まで社会人の方との共演があんまりなかったので、それがすごく面白いです!