電車通学に慣れてきた中1の5月ごろ、少しギリギリの時間のみなとみらい線に乗って、終点の元町中華街駅で降りるつもりでいた私は、その日音楽を聴きながら空いた席で寝ていました。電車がガタン、と止まるのを感じ、それと同時に、それまでかなり深く眠っていたこと、学校へ急ぐ必要があることを思い出した私は、慌てて電車を飛び降りました。しかし、改札へのエスカレーターに向かう途中普段とは違う違和感があることに気づきました。よく見れば駅の壁の色も、エスカレーターの位置もいつもと違います。私は早とちりして、終点より手前の馬車道駅で降りてしまったのです。しかし、ここまではよくある話で、似たような理由で遅刻したという人もいると思います。ところが、この日大変なのはここからでした。電車を降りて数秒してから、駅を間違えたことに気づいたため、戻ろうする頃にはドアは閉まり始めていました。このまま逃すと遅刻してしまうと思った私は、一か八かで走り、足が乗り、体が入り、リュックもなんとかドアをすり抜けました。しかし次の瞬間。右手に激痛が走り、あっと声が出ました。信じられないことに、右手だけ間に合わず、ちょうど手の甲でドアに挟まったのです。そんなアホみたいな話ある?と思いますよね、私もそう思います。でも本当なんです。
しかも不運なことに、リュックなどもっと大きなものであればドアが再び開いたものを、挟まったのが手の甲なので薄すぎてセンサーに感知されず、ドアは開きませんでした。
恐ろしい痛みでした。引っ張っても抜けないし、血が止まっているのが感覚でわかるほどです。電車のドアの縁を思い浮かべてみてください。黒いゴムみたいなものでカバーされてて柔らかそうにも見えますが、あれは中身のギリギリまでは金属の板があるんです。みなさんも挟まれてみればわかります。
パニックになった私は、電車の中で目いっぱい叫んで助けを求めました。「すみませーん!!挟まりました!!!!」こんな恥ずかしいことあるでしょうか?今思い出すだけで書きながら死にたくなっています。でもそんな恥ずかしさなどどうでも良いほどに挟まれた手は激痛でした。
1分ほどして、なんと駅の構内放送でメッセージが返ってきました。「「お客様、間もなくドアを開けますのでお待ちください。」」これまた恥ずかしい状況です。電車の外から見れば、ドアから私の指だけが飛び出ているわけで、よく気づいてもらえたなあと思います。やっぱり叫んだのが良かったのかも知れません。
その後ドアは開き、無事手は解放され、血の止まっていた手は紫色になるという無駄な知見だけを得て私は学校へと急ぎました。普通に遅刻しました。
駆け込み乗車はやめましょう。
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